最新情報について
ここではVST 3.6.0の開発について記載させていただいておりますが、最新版ではないため内容を更新しておりません。
これから開発を始める方は、新しいVSTバージョンで開発することをお勧めさせていただきます。
新しいVSTバージョンの開発情報はこちら → はじめてのVSTプラグインの作り
VST3作成の準備
VST SDK 3.6でVST3を作成する際のプロジェクト作成方法についてメモいたします。
開発環境はVisual Studio Express 2013 for Windows Desktopを想定しています。
VST3の基本ライブラリの作成
VST3を作る場合は基本ライブラリが必要になります。
基本ライブラリは、ダウンロードしたSDKの中にありますが、ソースファイルからコンパイル・ビルドする必要があります。
「VST3 SDK\base\win\base_vc10.vcxproj」をVisual Studio開いて、そのままビルドすれば基本ライブラリ「base_vc10.lib」が完成します。
→VST SDK 3.6.7では方法が変更となっております。暫定的な手順はこちらです。
デバッグ版とリリース版の両方作成しておきます。
プロジェクトの作成
新しいプロジェクトを作成するときは「Win32プロジェクト」を選びます。
ウィザードではアプリケーションの種類を「DLL」にします。
追加オプションでは「空のプロジェクト」のチェックをいれ、「Security Development lifecycle」のチェックをはずします。
モジュール定義ファイルが必要
VST3を作る場合はモジュール定義ファイル(.def)が必要になります。
メモ帳等で下記の内容を記載し、「vst3.def」とすることでモジュール定義ファイルが作成できます。
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EXPORTS GetPluginFactory |
プロジェクトのプロパティの設定
作成したプロジェクトの設定を変更する必要があります。
デバッグ構成の場合、変更すべき点は下記のとおりです。
カテゴリ | 設定項目 | 値 | |
---|---|---|---|
全般 | 文字セット | マルチバイト文字セットの使用 | |
ターゲットの拡張子 | .vst3 | ||
VC++ディレクトリ | インクルード ディレクトリ | C:\VST3 SDK C:\VST3 SDK\vstgui4 (「C:\」配下にVST SDKのフォルダを保存している場合。) |
|
ライブラリ ディレクトリ | C:\VST3 SDK\base\win\Win32\Debug\base_vc10 (基本ライブラリ「base_vc10.lib」のあるディレクトリを追加) |
||
C/C++ | コード生成 | ランライムライブラリ | マルチスレッドデバッグ(/MTd) |
リンカー | 入力 | 追加の依存ファイル | base_vc10.lib (デバッグ版) |
モジュール定義ファイル | vst3.def |
リリース構成の場合、変更すべき点は下記のとおりです。
カテゴリ | 設定項目 | 値 | |
---|---|---|---|
全般 | 文字セット | マルチバイト文字セットの使用 | |
ターゲットの拡張子 | .vst3 | ||
VC++ディレクトリ | インクルード ディレクトリ | C:\VST3 SDK C:\VST3 SDK\vstgui4 (「C:\」配下にVST SDKのフォルダを保存している場合。) |
|
ライブラリ ディレクトリ | C:\VST3 SDK\base\win\Win32\Release\base_vc10 (基本ライブラリ「base_vc10.lib」のあるディレクトリを追加) |
||
C/C++ | コード生成 | ランライムライブラリ | マルチスレッド(/MT) |
リンカー | 入力 | 追加の依存ファイル | base_vc10.lib |
モジュール定義ファイル | vst3.def |
必要なソースファイル
プロジェクトの作成・設定変更後、下記のソースファイルを追加する必要があります。
- VST3 SDK\pluginterfaces\base\ustring.cpp
- VST3 SDK\public.sdk\source\main\dllmain.cpp
- VST3 SDK\public.sdk\source\main\pluginfactoryvst3.cpp
- VST3 SDK\public.sdk\source\common\pluginview.cpp
- VST3 SDK\public.sdk\source\vst\vstinitiids.cpp
- VST3 SDK\public.sdk\source\vst3stdsdk.cpp
- VST3 SDK\public.sdk/source/vst/vstguieditor.cpp
- VST3 SDK\vstgui4/vstgui/vstgui_win32.cpp
最後に
以上でVST3用のプロジェクトを作成することができます。
最後のソースファイルの追加については最低限のものですので、VST3の機能をフルに使う場合、上記以外のソースファイルを追加する必要が出てくるかも知れません。
次回は、実際にソースコードの部分についてメモできればと思います。
誤VST3 SDK\base\winbase_vc10.vcxproj
正VST3 SDK\base\win¥base_vc10.vcxproj
ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。
base_vc10.lib (デバッグ版)へのライブラリディレクトリの設定もいるかも。あと、defファイルはメモ帳なくても右クリック追加で作れますよ。
以上、Visual studio2015にて確認。
書き込みありがとうございます。
内容確認し、修正させていただきます。
base_vc10.libへのディレクトリ追加は確かに必要でした。
修正させていただきました。ありがとうございます。
defファイルのほうはvisual studio 2013 Expressでは右クリックで追加できないみたいですので
一旦このままとさせていただきます。